昼間はただの石畳。でも日が暮れると、この道は急に自分の役目を思い出したように輝き出します。
写真は、マンションのエントランスまで続くアプローチ。足元にずらりと並んだボラードライトが、まるで「こっちだよ」と誘導してくれているみたいです。
このボラードライト、なんとなく等間隔に置いているように見えて、実は樹の位置と石畳の目地をちゃんと見ながら配置しています。木の陰にならない場所、歩く動線を遮らない場所、石畳の割付けと揃う場所。そのすり合わせがうまくいくと、この写真みたいに光と影と緑が自然に重なって見えるんですよね。
木々のライトアップも効いていて、昼間は緑の壁にしか見えなかった植栽が、夜は陰影のある立体的な表情に変わります。光を下から当てることで、葉っぱ一枚一枚の輪郭がくっきり浮かび上がるんですよね。この「見上げる光」があるかないかで、同じ植栽でも印象がまったく違います。
石張りのアプローチも、艶消しの質感が光をやわらかく受け止めていて、変に反射してギラつかない。歩く人の足元をちゃんと照らしながら、うるさくならない絶妙なバランスです。
エントランスの奥にはガラス張りの風除室が見えていて、そこだけほんのり暖色の明かり。外構の白っぽい光と、建物内の温かい光のコントラストが、「帰ってきた感」を演出してくれています。
照明計画って、明るくすればいいってものじゃなくて、どこを照らして、どこを陰にするか。その引き算のセンスが問われる仕事だなと、こういう写真を見返すたびに思います。
照明器具って、予算の話になると真っ先に削られがちな項目なんですよね。「見えないところだから」「なくても生活はできるから」って。でも私は、照明は「演出にかける費用」だと思って考えると、途端に楽しくなります。同じ建物・同じ植栽でも、光の当て方ひとつで全然違う表情になる。コストではなく、雰囲気への投資だと捉えると、削るのがもったいなく感じてきませんか。

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